京都市北区の世界遺産、上賀茂神社で、毎年5月5日に行われる伝統神事「賀茂競馬(くらべうま)」の際の騎手の目印となっている名物のヤマザクラ「馬出(うまだし)の桜」が、先月末に強風で折れていたことが分かった。
神社関係者によると、折れたサクラは境内に広がる芝生にあった。植えられた時期は不明だが、高さ約5メートル、幹周りが約2メートルで樹齢100年以上とされる。5月29日、台風2号から変わった温帯低気圧による強風の影響で、根元から約1メートル付近で折れたという。
「馬出の桜」は、賀茂競馬で「乗尻(のりじり)」と呼ばれる騎手が目印にする木。柵で囲われ、神事のとき以外も参拝者の目を引いている。同神社権禰宜(ごんねぎ)の藤木保誠(やすまさ)さんは「非常に残念。次世代にバトンタッチさせたい」と話し、今冬に同じ品種のサクラを植える方針という。
「賀茂競馬」は同市の登録無形民俗文化財にもなっており、平安時代の寛治7(1093)年、宮中の競馬が同神社に移されたのが起源とされる。