東京電力福島第1原子力発電所の様子をインターネット上で生中継している「ライブカメラ」に、不審人物が写り込んでいたことが30日分かった。防護服姿のこの人物は、カメラからやや離れた位置から、何かを訴えかけるような素振りを見せたり、至近距離からカメラに指を指したり。誰が何の目的で行ったのか。ネットでも話題騒然だ。
爆発で骨組みだけになった原発や無数のパイプが横たわる第1原発の敷地内。普段は静止画像のような変化のないライブ映像に、異変が起きたのは、28日午前10時10分過ぎのことだった。
防護服姿の不審人物が突然、画面奥から現れ、次の瞬間、右手で上空を指し、ゆっくり回してから、カメラを指さした。左手に持ったメモか携帯電話のようなものを見ながら約20分間、何事か呼びかけるようなしぐさを続け、一旦フレームアウト。その約3分後、今度はカメラの前にドアップで出現した。
「表情や体格からして男性のようで、ドアップで現れてから約1分間、何かを訴えかけているようでした。ただ、ライブカメラは音声まで拾っていないのでわからない。厳しい表情が見て取れたので、非常事態でも起きたのかと不安になりました」(ネット・ウオッチャー)
東京電力では、不審人物について「詳細を確認中」(広報部)とコメント。外部の人物が侵入した可能性については「セキュリティー状況からしてあり得ない」(同)としているため、同社や協力会社の関係者の可能性が高い。
同原発関係者も「敷地内では常時500人以上が作業しており、休憩時の行動は事実上フリー。以前も1号機建屋の前で記念撮影する作業員の姿が(ライブカメラに)写り込んだこともある。今回も、どこかの作業員が、携帯で誰かと連絡をとりながらカメラの前でパフォーマンスしただけではないか」と話す。
ただ、今年6月、フリージャーナリストが単身で潜入し、建屋から50メートルの地点まで接近する事案も起きているだけに安心はできない。