東日本大震災の被災者の通行が無料となっている東北自動車道で、係員が罹災(りさい)証明書がない車にも無料で通行させるケースが起きていることが23日分かった。罹災証明書の確認で渋滞を引き起していることが、係員のモラルハザードを招いている可能性がある。
東京都内に勤める男性会社員(28)によると、今月中旬、首都高用賀ICから川口JCT経由で東北道に入り、福島県の郡山IC出口で通行券を渡すと、係員に「被災者ですか」と聞かれた。「一般です」と否定し財布を取り出そうとしたところ、係員は「いいよ、いいよ」といって料金の受け取りを拒否。会社員は川口-郡山間の5100円を支払わずに東北道を降りたという。
東日本高速道路によると、料金徴収はグループ会社の係員が担当。通行券と罹災証明書、運転免許証が確認できれば走行区間と料金だけを記録し、通行者の記録は残さずに無料通行を許可している。
同社広報は「通行者が本当に被災者と確認できているかは、最終的には係員に委ねられている。無料通行の黙認は聞いたことがなく驚いているが、対策をとる段階にない」としている。