ゴロで打たせて取るとは言っても、フライで打たせて取るとはあまり耳にしない。しかし、サブマリンことロッテ・渡辺俊ならそれも可能だ。
8月6日(土)ロッテ vs. オリックスで珍しい記録が生まれた。
この日、先発を任された渡辺俊の成績は7回2/3を3安打1失点。23アウトのうち、4三振を除く19アウトは全てフライ(ライナー1つを含む)。ゴロアウトは1つもなかった。
「前半の風はちょうどいい感じで吹いてくれて直球が浮き上がってくれた」。下手投げ特有の軌道。QVCマリン特有の海風も生かした。中堅方向からグラウンドに吹き、その風はバックネットではね返って投手には向かい風となる。試合中盤まで常時4、5メートル。直球はさらに浮き上がり、ことごとく球の下を叩かせる。直球で打ち取ったフライは14個を数えた。
直球を多投した要因はそれだけではない。オリックス打線のシンカー狙いを見抜いたからだ。「シンカーをすくい上げてゴロを打たない打撃」と渡辺俊。シンカーは直球と同じ軌道から沈ませる球。渡辺俊の最大の武器でゴロを打たせる球だ。近年はシンカーを対戦相手に研究され、狙われる傾向が強い。それを逆手に取り、フライでアウトを稼ぐ投球に徹した。
ちなみに、延長10回の末、1-1で引き分たこの試合、ロッテの3人の投手リレー(渡辺俊→ロサ→薮田)の中でも、ゴロアウトは9回にロサがT-岡田に許したショートゴロ1つのみ。
打ちとったアウトのうち、ゴロアウトを1つだけで試合を完了させたことは、プロ野球歴代タイ記録という珍しい記録にもなった。
ロッテ投手陣が打ち取ったフライアウトの内訳
捕飛が1つ
一飛が1つ
二飛が2つ
遊飛が1つ
遊直が1つ
三邪飛が2つ
左飛が8つ
中飛が2つ
右飛が5つ
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計:23フライアウト
遊ゴロが1つ
奪三振が6つ
以上30アウト